AIDMAの法則は古い理論!?マーケティング戦略に役立つフレームワーク5選

マーケティング戦略を立案する場面でよく使われるフレームワークと言えば、SWOT分析、STP分析、マーケティングミックス(4P)などが有名で、その他にも多くのフレームワークがあります。

これらのフレームワークは、環境を分析し、事業の方向性を定め、具体的な実行施策を立案するためのフレームワークです。
つまり、状況に適した戦略を立案し実行するためのフレームワークと言えます。

しかし、これらのフレームワークは自社の戦略を立案することには適していますが、顧客の行動を理解するという観点ではあまり役に立ちません。
顧客の行動を理解することはマーケティング戦略を立案するうえで極めて重要であるはずなのに。。。

実は、顧客の行動を理解し整理された理論がいくつか提案されています。

この記事では、顧客行動を理解し整理した最も古い理論の1つである「AIDMAの法則」をはじめ、5つの理論をご紹介します。

顧客行動を理解し、事業の運営や広告戦略に活かしたい方は、ぜひ参考にしてください。

目次

マーケティング戦略の立案に役立つフレームワーク5選

あなたがコンシューマ向け(企業ではなく一般消費者向けに商品を販売すること、いわゆる「B to C」ビジネス)に何らかの商品を販売したいとき、その商品を市場の消費者に広く知ってもらうために広告を活用するのが一般的です。

「広告活動を効果的に実施するためにはどうすれば良いのか?」

その問いに対するヒントを与えてくれるのが、「顧客行動」に関する5つのフレームワークです。

顧客行動に関する5つのフレームワーク
  • AIDMA
  • AIDCAS
  • AISAS
  • AISCEAS
  • Dual-AISAS

マーケティング戦略を立案するとき、顧客の行動を理解することなく立案した戦略は失敗に終わる可能性が高いでしょう。
なぜならば、その戦略には買い手である顧客の行動が反映されていないからです。

5つのフレームワークを理解し戦略立案に活用してください。

それでは5つのフレームワークを順に解説していきます。

【AIDMAの法則とは?】最も古い理論のマーケティングにおける意義

AIDMAは1924年にサミュエル・ローランド・ホールが著書「小売業の広告と販売」で提唱した理論で、消費者が何かを購入する際の心理に注目し、消費者がどの様なプロセスを経て”購入”という行動に至るのかを体系的に整理した理論です。

ちなみに、AIDMAの法則では、消費者は以下の5つの段階を経て購入に至るとされています。

  • Attention/認知: 存在を知る
  • Interest/興味: 興味を持つ
  • Desire/渇望: 欲しいと思う
  • Memory/記憶: 購入しようと記憶(決断)する
  • Action/購入: 実際に購入する

この様に、消費者は、初めはその商品が世の中に存在する事すら知らない状態からスタートし、AIDMAの段階を経て「購入」という行動に至ります。

当然のことながら、消費者のすべてがいつも同じ段階にいるはずはなく、人それぞれの情報量や環境に応じて5段階のうちのいずれかの段階にいるはずです。

従って、それぞれの段階にいる人々が、次の段階へ進んでくれるように促すために、何らかの施策が必要となります。

AIDMAの理論を活用したマーケティング活動の例

AIDMA理論に従って5段階のそれぞれのステップにおける施策を検討した場合、例えば、下記の様な施策が考えられます。

① Attention/認知:
・TV、ラジオ、SNSなどのメディアを活用する
・DMを活用する
・店頭の目立つところに陳列しておく

② Interest/興味:
・メディアやDMで認知させるとともに、機能の良さなどのアピールポイントを知らせる
・店頭で販売している所に、キャッチーな内容のPOPやポスターを掲示しておく

③ Desire/渇望:
・カタログや自社ウェブサイトなどでより詳しい情報を提供する
・店頭で実際に商品を見てもらったり使ってもらったりする

④ Memory/記憶:
・メディアで常にCMを流し続ける
・継続的に店頭の目立つスペースに目立たせておく
・一時的なディスカウント価格やキャッシュバックを実施する

⑤Action/購入: 実際に購入する
・消費者が購入しやすい環境を整える(売場のレジスペースの確保、オンライン通販など)

この様にAIDMA理論に従って消費者の心理的段階を認識しつつ広告・販売戦略を立案し適切な施策を実行すれば、より多くの消費者に商品を購入してもらえる可能性が高まります。

AIDMA理論の根底には「消費者の心をつかむ」という重要な思想があることを理解しておく必要があるでしょう。

【AIDCASの法則】顧客満足に目を向けた画期的な理論

AIDMAの法則をベースに顧客行動に少し修正を加えた理論がAIDCASの法則です。
AIDCASの法則を顧客の行動プロセスに合わせて表現すると以下のようになります。

  • Attention/認知: 存在を知る
  • Interest/興味: 興味を持つ
  • Desire/渇望: 欲しいと思う
  • Conviction/確信: 購入すべきものであると確信する
  • Action/購入: 実際に購入する
  • Satisfaction/満足: 購入品に満足する

AIDCASの法則がAIDMAの法則と最も違うのは、顧客行動の最後に「Satisfaction/満足」の過程があると認識している点でしょう。

AIDMAの法則では顧客が購入するまでの行動にしか焦点があてられていません。
つまり、購入した後のことは何も考慮されていないのです。

しかしAIDCASの法則では、商品を購入した顧客の心理状態である「満足感」まで考慮しています。
顧客満足度を高めることを意識して理論をまとめたという点においてAIDCASの法則は画期的な理論であると言えます。

【AISASの法則とは?】AIDMAの法則の理論を現代風にアレンジ!

次は「AIDMAの法則」を現代風にアレンジした「AISASの法則」について解説をしていきます。

サミュエル・ローランド・ホールが著書「小売業の広告と販売」でAIDMA理論を提唱したのは1924年で、「AIDMAの法則」は実は今から100年近くも前に提唱された理論でした。
日本はまだ「大正」の時代、現代とはあまりにも時代が違いますよね。

その様な時代に提唱されたAIDMA理論ですから、現代にあてはめて使おうとしても何となく違和感が。。。と感じる事もしばしば。

その様な状況の中、実際にAIDMAに代わる新たな理論を提唱する人々が現れ始めました。
そういった新たな理論の一つがAISASの法則です。

AISASは2005年に株式会社電通によって提唱された理論で、AIDMAと同様に消費者の購買に関する行動が5つの段階に分けて整理されています。

  • Attention/認知: 存在を知る
  • Interest/興味: 興味がわく
  • Search/検索: ネットで検索して調べる
  • Action/購入: 購入する
  • Share/共有: 体験を共有する

1. Attention/認知、2. Interest/興味に関しては、AIDMAと同じですが、それ以後の段階が違いますね。

それではAIDMAとAISASの違いについてさらに詳しくご説明しましょう。

AIDMAとAISASの違い

先にも述べましたが、AIDMAとAISASにおいて、最初の2段階は同じです。つまり、消費者が何らかの商品(モノとは限らずサービスも含む)を購入するという行為に関しては、必ず「商品を認知する」というプロセスと「商品に興味がわく」というプロセスが必要で、それは100年前も現代も同じである、という事を意味しています。

一方で、それ以後のプロセスには違いがありますね。

AIDMAにおいては ”2. Interest/興味”の後に、3. Desire/渇望 → 4. Memory/記憶(或いはMotive/動機付け) → 5. Action/購入、と続いていくのですが、AISASでは、興味がわいた次のステップとして、Search/検索に至ると説明されています。

100年前の消費者は何らかの商品に興味をもったら、次のDesire(商品を欲しいと感じる)とMemory(商品を記憶にとどめ購入する事を決断する)を経て購入に至るために、何らかの新たな、或いはより詳しい情報がインプットされる必要がありました。

だからこそ、その状態を的確にとらえ効果的な広告・販売活動を実施するために、体系的に理論を整理する必要がありました。
こうして提唱されたのがAIDMAの法則に関する理論です。

以上を踏まえAIDMAとAISASの違いについて詳しく解説していきます。

AIDMAとAISASの違い①: 消費に対して主体的になった現代人

しかし、現代の消費者はインターネットという強力な情報ツールを使えます。従って何らかの商品に興味を抱いた消費者は”Search/検索”という行為によって自ら必要な情報を収集する事ができます。

そうやって自分自身にとって必要な情報を収集した消費者は、自ら納得して”購入”という行動に至ります。

100年前には販売者から与えられた情報によって、最終的に購入という行動に”誘導”されていた消費者が、現代においては自らの意思で主体的に情報を収集し、そういった自らの行動によって購入に至る様になったのです。

AIDMAとAISASの違い②: 現代の消費活動は ”購入したら終わり” ではない!

さて、AIDMAもAISASも「Action/購入」があるという点では同じです。しかしAIDMAでは5段階のうちの最後のステップであるのに対し、AISASでは4段階目に設定されています。

これは何故でしょうか?その理由と意味するところを紐解いてみたいと思います。

そもそもAIDMAの法則は100年前に、広告の仕事に携わっていたサミュエル・ローランド・ホールが、有効な広告活動を展開するためにまとめた理論でした。

彼の立場からすれば、最終目的は「広告活動を実施した商品が消費者に購入されること」であったはずなので、5段階の最終段階に”Action/購入”のステップがあるのは当然のことだと思います。

そして、実際に消費者の行動はそれで終了していたのだと思います。
(一部で苦情があがったり、口コミで情報が広がったりしたかもしれませんが。。。)

しかし、現代は違います。

何かを購入した現代の消費者は、またしてもインターネットという強力な情報ツールを使って、購入した商品(サービスも含む)で体験したことや感じたことを不特定多数の人々に情報共有するようになったからです。

例えば、専用サイトに商品レビューを書く、SNSなどで情報をシェアする、といった行為です。

このため、現代の消費行動は ”購入したら終わり” ではなく、”体験や感想を共有したら終わり” になったのです。

しかも、終わったのは情報共有した本人だけであり、共有された人々にとっては終わりではありません。

つまり、情報を共有された人々の中には購入の段階に至っていない人々も大勢含まれているため、共有された情報に刺激を受けた人々が新たな購入者となって、またその体験が情報共有される、という循環が起こります。

この様な現代の状況を正しく認識されたうえで整理されたのがAISASの法則なのです。

現代においては、販売者だけでなく実際に商品を体験した消費者がリアリティ性の高い情報を提供するようになりました。
そして提供された情報が消費者の購入行動に多大な影響を及ぼします。

また、購入前の消費者も、そういったリアリティ性の高い情報を求めて”検索”という行為を行い、自ら主体的に情報を集める様になりました。

つまり、テクノロジーの進歩によって、消費活動の主導権は、販売者側から消費者側へと移動したと言えます。

【AISCEASの法則】AISASとの違いのポイントは「比較」と「検討」!

さて、テクノロジーの進歩によって顧客は「Search/検索」と「Share/共有」を実行するようになったことを既にご説明しました。

しかし顧客は、テクノロジーを駆使してさらに踏み込んだ行動を実行するようになりました。
その行動とは以下の2つです。

  • Comparison/比較
  • Examination/検討

従来、顧客は「Search/検索」をして情報を集めた後に「Action/購入」の行動を起こしていました。

しかし「Search/検索」によって多くの情報が得られるようになると、集めた情報を整理して複数の商品を「Comparison/比較」し、十分に「Examination/検討」してから「Action/購入」するようになったのです。

つまり、2つの行動を「Search/検索」と「Action/購入」の間に追加して理論を整理したのが「AISCEASの法則」です。

AISCEASの法則を顧客の行動プロセスに沿って順に記載すると以下の通りとなります。

  • Attention/認知: 存在を知る
  • Interest/興味: 興味がわく
  • Search/検索: ネットで検索して調べる
  • Comparison/比較: 複数の商品を比較する
  • Examination/検討: 買うべき商品を選ぶ
  • Action/購入: 購入する
  • Share/共有: 体験を共有する

AISASからAISCEASへの変化は、人々の情報収集におけるインターネット依存度と重要度が増加したことを意味しています。

インターネット検索において自社商品に関する情報が表示され、人の目にとまる環境をつくる重要性がさらに増加していると言えるでしょう。

【Dual AISASの法則】

Dual AISASの法則は、AISASの法則の理論では不足していた着眼点を補完する形で提唱されました。

繰り返しになりますが、AISASの法則では顧客の購買行動は以下の5つの段階で表現されています。

  • Attention/認知
  • Interest/興味
  • Search/検索
  • Action/購入
  • Share/共有

このAISASの法則では、「Action/購入」という行動を実行した顧客が購入した商品の使用感などを「Share/共有」するとされています。

しかし、実際には商品を購入しなくても、その商品に関する情報を共有する人々がいます。
こういった人々の商品を購入する意欲は低く、どちらかと言えば、情報を共有することが目的になっています。

つまり商品に対して「Interest/興味」を示す人々の中には以下のような2種類の人々が存在しているのです。

① 商品を購入することを目的にしている人
② おもしろい情報を共有することを目的にしている人

情報の共有を目的にしている人々による情報の拡散プロセスは以下のように表現できます。

  • Interest/興味
  • Share/共有・発信
  • Accept/受容・共鳴
  • Spread/拡散

商品に興味(Interest)を示した人は、その情報を発信(Share)します。
その情報を受け取った人は、商品の情報だけでなく同時に発信者の意見や感情も受け取ることになり、それに共感を覚えて受容(Accept)し、さらに情報を拡散(Spread)していくのです。

この「情報の共有を目的にしている人々」は、広告をはじめとしたマーケティング戦略を実行している人々、つまり「商品の販売者」から見ると”もったいない”存在であると気付きます。

なぜなら、情報共有を目的にしている人々は、商品に興味を示し情報を拡散することによって商品の認知度を高めてくれてはいるものの、自身が商品を購入するつもりはないからです。
彼らを「顧客」として取り込むことができれば商品の売れ行きが上昇するはずですよね。

ここで「情報を共有することを目的にした人」が「商品を購入することを目的にしている人」に変化する様子を「Activate(起動・活性化)」と表現します。

現代のマーケティング活動においては、情報を拡散している人々を活性化(Activate)し、顧客として取り込むことがとても重要なのです。

さて、お気付きでしょうか?

情報の共有を目的にしている人々の様子を表現した4つのステップの最初に「Activate(起動・活性化)」を加えて表現すると「AISAS」となりますよね。

  • Activate/起動・活性化
  • Interest/興味
  • Share/共有・発信
  • Accept/受容・共鳴
  • Spread/拡散

ここでご紹介した理論は、既にご説明した「購入を目的にした人々」の行動様式であるAISAS (Attention/認知、Interest/興味、Search/検索、Action/購入、Share/共有)と「情報共有を目的とした人々」のAISAS(Activate/起動・活性化、Interest/興味、Share/共有・発信、Accept/受容・共鳴、Spread/拡散)を合わせて「Dual AISASの法則」と呼ばれています。

Dual AISASの法則は、商品に興味を示している人々の中には「購入の意思がある人」と「情報を拡散してくれているけど購入の意思はない人」の2種類の人々がいることを認識し、情報を拡散してくれているだけの人々に購入の意思を持ってもらうことの必要性と重要性を明らかにしたという意味で、とても画期的な理論であると言えるでしょう。

AISASの法則とDual AISASの法則に関しては、AISASの法則を提唱した電通のサイトに詳しい理論が説明されています。
https://dentsu-ho.com/articles/3100

【DECAXの法則】 ポイントは「見つけてもらう」こと

DECAXの法則は以下の5つのプロセスで表現されています。

  • Discovery/発見
  • Engage/関係づくり
  • Check/確認・調査
  • Action/購入
  • eXperience/体験の共有

日本語は意訳が多くなっていますが、それぞれのプロセスの意図が分かりやすいように、あえて意訳で表現しています。
それぞれのプロセスの内容については以下で簡単に解説します。

「Discovery/発見」では、顧客(消費者)に自社の商品に関する情報を発見してもらい認知されます。
「Engage/関係づくり」では、顧客(消費者)は商品の情報を集めて概要を把握します。
「Check/確認・調査」では、顧客(消費者)が自身の購入判断の決め手となる点について情報を確認し、納得できれば「Action/購入」のプロセスで実際に商品を購入します。
そして「eXperience/体験の共有」のプロセスにおいて、実際に商品を使った使用感などを商品レビューやSNSなどで共有する、という流れです。

DECAXの法則がこれまでご紹介してきた他の法則と決定的に異なるポイントは、顧客(消費者)が主体的に行動することを前提にしているところにあります。

従来は、不特定多数の人々に情報提供(その典型的な例が広告です)して、できるだけ多くの人に商品を認知してもらうことを目指していました。
人々が情報を得る手段は限られているので、あらゆる手段を使って情報を提供しなければ自社の商品を人々に認知してもらえない、と考えられていたからです。

この場合の作戦を分かりやすく表現すれば「とにかく目立ってみんなの注意を引き付けよう!」となります。

しかし現代の人々は「検索」という行為を通じて主体的に情報を得る機会が増えました。
与えられた情報だけでなく、必要な情報を自分で探すようになったのです。

これは逆に「興味のない情報は見ない」という状況をつくりました。
ネットを通じて大量の情報を得る事ができる現代人は、あふれかえる大量の情報の中から自分にとって有用な情報だけを選別して得るようになったのです。

このような状況の変化に対応するために、商品を認知して欲しい企業側も考え方を変える必要が出てきました。

その結果、人々に自社の商品を認知してもらうために、「注意をひく」という考え方から「発見してもらう」という考え方にシフトしたのです。

この場合に重要となるのは、「とにかく目立つ」ではなく、「必要としている人に発見してもらう」ことなのです。

具体的な施策の事例としては、検索エンジンの検索結果に表示されやすくする「SEO(Search Engine Optimization)対策」などがあげられます。

まとめ

現代において広告・販売活動を有効に実施するためには、”検索”や”共有”をともなって迅速かつ多数の人々にリアリティ性の高い情報が伝わることを認識する必要があります。
そして、それをマーケティング活動や広告に反映していくことが大変重要な意味を持っていることを理解しておく必要があるでしょう。

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