自社の商品やサービスの販売数が思うように伸びなくて困った経験はないでしょうか?
或いは、これからどの様な商品やサービスを提供していけば良いか思い悩んでいませんか?
これらの悩みの原因は、もしかしたら「誰の」「どの様なニーズに」「何を提供するのか?」という事業戦略が正しく立案されていないからかもしれません。
これらの事業戦略を立案するための手法として「STP分析」がありますが、この記事で解説する【セグメンテーション】は、STP分析の最初のステップであると同時に「自社に合った市場」を発見するための手法でもあります。
適切な市場で事業を展開し自社の商品やサービスの販売量を伸ばすために必要な手法ですので、この記事を参考にぜひ身に付けてください。
【セグメンテーション】言葉の意味とマーケティングにおける意味
この記事ではビジネスシーン、特にマーケティングの用語として語られる「セグメンテーション」について簡単に解説していきますが、その前に、「セグメンテーション」という言葉の意味について少しご説明します。
「セグメント」という言葉の意味を辞書などで調べると、
- ある一定の区分で区切ったまとまりのこと
- 分割されたものの一部分
といった説明がされており、
全体を何らかの基準に従って分割した、その一部分のまとまり
という意味である事が分かります。
「セグメンテーション」とは、「セグメント化すること」という意味ですので、
全体を何らかの基準に従って分割し「まとまり」をつくること
であると理解できます。
つまり、一言で表せば「細分化」と表現されるものです。
今回の話題であるマーケティングにおける「セグメンテーション」は「市場」を対象にしていますので、「市場の細分化」という意味だと理解すれば分かりやすいと思います。
【セグメンテーションの役割】 STP分析における位置づけ
あなたが何かの事業を展開しようとする時
- 「誰の」
- 「どの様なニーズに」
- 「何を提供するのか?」
を決めなければなりません。
そうでなければ、市場の中で競争に勝ち残るために自社が実行すべき戦略が定まらないからです。
「誰の」「どの様なニーズに」「何を提供するのか?」を決めるマーケティング手法として「STP分析」があり、以下の3つのステップで構成されています。
- セグメンテーション
- ターゲティング
- ポジショニング
つまり、マーケティングにおける「セグメンテーション」とは、「誰の」「どの様なニーズに」「何を提供するのか?」を決める最初のステップであると同時に、「ターゲティング」「ポジショニング」へとつながる重要なプロセスなのです。
セグメンテーションにおいて実施される具体的な作業は、各種の環境分析の結果を踏まえ、不特定多数の人々を同じニーズや性質を持った「まとまり」に分ける作業です。
これによって、市場が「意味ある何らかの観点(軸、切り口)」によって細分化され、自社が優位性を築きやすい市場を発見でき、事業活動を効率化してくれるのです。
この点については次の章で詳しくご説明します。
【セグメンテーションの役割】市場を細分化して分析する理由とメリット
セグメンテーションを使って市場を細分化する理由は
自社が優位に競争できる市場(=自社がより良い価値を提供できる顧客)を探すため
です。
なぜそのような事をしなければならいないのでしょうか?
背景には、現代における「顧客ニーズの多様化」があります。
現代に比べ人々の価値観が多様化していなかった過去の時代には、市場(顧客)のニーズは似通っていました。
過去の時代には、市場(顧客)のニーズを満たした商品やサービスを提供し、それを不特定多数の人々にプロモーションすれば大量に販売でき収益をあげる事ができたのです。
しかし、市場が成熟し人々の価値観が多様化している現代においては、1つの商品やサービスで市場全体を満足させる事はむずかしくなっています。
それでも市場全体のニーズを満たそうとするのであれば、多様な価値観に対応するために、商品やサービスにも様々な「価値(顧客が欲しいと感じる商品の機能やメリット)」を盛り込まなくてはならなくなります。
これは事業を展開する上で、
- 難易度の上昇
- スピードの低下
- コスト増大
を招き、著しく効率が低下する事を意味しています。
この様な状態で市場の競争に勝ち残れるとは思えませんよね。
そこで、市場全体を【セグメンテーション】する事によって似通った価値観を持った「まとまり」として細分化し、その中から「自社の強みを活かして価値提供できる顧客」の集団を探すのです。
つまり、自社が「獲得しやすく」「優位性も築きやすい」市場(顧客)を探し出し、その市場(顧客)に的を絞って商品やサービスを販売する事で、事業運営を効率化し競争に勝ち抜くことを目指すわけです。
以上を踏まえると、セグメンテーションには次の2つのメリットがあると言えるでしょう。
- 自社が競争しやすく優位性を築きやすい市場(顧客)が分かる
- 事業運営を効率化できる
このメリットを活かすことこそがセグメンテーションを実施する意味なのです。
セグメンテーションの軸の例とやり方を簡単に解説
ここまではセグメンテーションの役割やメリットなどの概要をご説明しました。
ここからはセグメンテーションを実践するうえで重要なポイントについて解説していきます。
セグメンテーションのやり方
既にご説明した通りセグメンテーションとは、市場をある一定の似通ったニーズを持った「まとまり」に細分化する作業です。
しかし単に細かく市場を分ければ良いというものではありません。
自社にとって競争しやすい市場(顧客)を探す事が目的なのですから、そういった自社にとって競争しやすい市場(顧客)が見えやすい軸(切り口)で市場を細分化する必要があります。
そのため、様々な軸(切り口)で何度も細分化を試み、自社が競争優位を築きやすい市場が見えやすい軸(切り口)を発見する必要があります。
市場をどのように細分化するかがセグメンテーションにおいて最も重要なポイントと言えるでしょう。
どの様な軸(切り口)で細分化すればよいか思いつかない
という方は、一般的によく使用される軸(切り口)がありますので、まずはそれらを参考に作業を進めてみてください。
セグメンテーションでよく使用される軸(切り口)の例
セグメンテーションに使用する軸(切り口)に特別なルールはありませんが、一般的には以下の様な軸が使用されています。
- 「地理」に関する軸
- 「人口動態」に関する軸
- 「心理」に関する軸
- 「行動」に関する軸
以下で詳しく解説しましょう。
「地理」に関する軸
国、市町村、などの文字通りの地理的情報や、土地によって異なる要素、例えば、気候、人口密度、文化や風習、法律や規制、といった切り口で分類します。
例えば、日本という市場を「気温」を軸として細分化した場合、北海道と沖縄では年間の気温が大きく異なることが分かります。
両者で冷暖房器具のニーズが違う事は想像に難くありませんよね。
「人口動態」に関する軸
人口分布にまつわる年齢、性別はもちろんの事、家族構成、年収、職業などを切り口にして分類します。
少子高齢化が急速に進んでいる日本では、高齢者向けの商品やサービスに対する需要が高まっていますね。
これは「年齢」を軸に細分化することによって得られる分析結果です。
「心理」に関する軸
性格、好み、価値観、ライフスタイルなど、心理的な側面に注目した切り口です。
例えば、同じコーヒー好きな人々の中にも「酸味が強いコーヒーを好む人々」と「苦みが強いコーヒーを好む人々」がいます。
「行動」に関する軸
人々の「何らかの行動」を軸にして細分化する手法です。
例えば、スーパーマーケットで、「店内をゆったり1周する人々」と「すぐに特定の売場に向かう人々」という行動の違いを軸にするような場合です。
ちなみに前者は「特に何かを買うと決めて来店したわけではない人々」、後者は「これを買うと決めて来店した人々」と推定する事ができます。
いろいろな行動パターンを分析する事によって、市場の細分化とニーズの把握ができそうですよね。
まとめ
今回はマーケティング活動の一環であるSTP分析の最初のステップである「セグメンテーション」に関して記事をまとめました。
自社が競争を勝ち抜くうえで「戦いやすい場所」を探すための重要なステップです。
自社に合った軸(切り口)を見出して事業運営やマーケティング戦略立案にうまく活用してください。