USP(Unique Selling Proposition)の意味 ~独自の強みで市場を制す!~

今回は、他社との差別化や競争優位な環境を築くうえで特に重要な概念である【USP(Unique Selling Proposition)】について、その意味と重要性をご説明していきたいと思います。

企業が市場で競争していく上で「どうやって他社と差別化し競争を優位にすすめていくべきか?」という命題は極めて重要です。
なぜならば、数多に存在する競合と同等のレベル感で同質な商品やサービスを提供していても顧客(消費者)からは「その他大勢」の中の1選択肢としてしか認知されないからです。
この状況では競合他社から抜け出し大きく市場を獲得する事は難しいでしょう。

では改めて先の命題を自らに問いかけてみましょう。

「どうやって他社と差別化し競争を優位にすすめていくべきか?」

その問いの答えを導き出すために必要な概念の1つが通称【USP(ユー・エス・ピー)】と呼ばれる【Unique Selling Proposition(ユニーク・セリング・プロポジション)】なのです。

目次

【USP(Unique Selling Proposition)】の意味と重要性

USPは1960年代に米国のロッサー・リーブス氏によって提唱され概念で、マーケティング活動を実施していく中で活かされるべき重要な考え方です。
特に現代は、商品やサービスが急速にコモディティ化(商品やサービスの価値が時間の経過とともに徐々に低下していく事)する時代であるため、その必要性はさらに高まっています。

USPの言葉としての意味を文章にすると

「商品やサービスを顧客(消費者)に対して売り込むための競合にはない独自の提案」


となります。

つまりUSPとは顧客(消費者)に対してアピールすべき「独自のセールスポイント」をキャッチコピーの様な提案の形にしたもの事です。

分かりやすい事例はドミノピザの「注文から30分以内にお届け。間に合わなければ代金は頂きません。」というUSPです。
30分以内という早さを強みとして、間に合わなければ代金はもらわないという独自のユニークなサービスを武器として、それを上の様な巧みなキャッチコピーとして宣伝したわけです。
このキャッチコピーは家にいながらにして「温かい焼き立てピザ」を早く食べられますよ、という消費者に対するドミノピザの提案であり、消費者の心を大いに掴んだ事でしょう。

【USP(Unique Selling Proposition)】の意味と重要性

では重要性という観点でUSPの意味を捉えるとどうなるでしょうか?

USPの重要性は、それによって競合との差別化が実現できる事にあります。
すなわちUSPを活用して競合と差別化し独自のポジションを手に入れる事によってブルーオーシャンとなった市場において独占的に収益を得る事が可能となるわけです。

この場合のUSPの意味をまとめると

「自社を競合と差別化しブルーオーシャンとなった市場で優位性を実現するための手段」

と表現できると思います。

現代は変化が激しい時代と言われてもいますが、商品やサービスも新しいものが次々と市場に投入されています。
そういった現代において競合と差別化をはかり市場における優位性を継続的に維持するためにはUSPを常に意識した戦略立案が求められます。

USPの重要性はそんな現代において高まる一方だと言えるでしょう。

【USP(Unique Selling Proposition)】の3つの要件

この様に重要なUSPですが注意したい点があります。
それはUSPを正しく認識する必要があるという事です。

  • 「独自性がある(ユニークである)事 = USP」ではありません。
  • 「強みである事 = USP」でもありません。
  • 「独自の強みである事 = USP」 これも、そうではありません。

USPとは

「独自の強みであると同時に顧客(消費者)のニーズにマッチした価値を提供できる事」

と表現されるべきものです。

つまりUSPには3つの要件を満たす事が望まれます。

USPに望まれる3つの要件
  • 競合にはない独自性がある
  • 競合に比べて優位な自社の強みである
  • 顧客(消費者)のニーズにマッチした価値を提供できる

もし独自性や強みの優位性が弱いと、競合と差別化してもすぐに追いつかれてしまう可能性が高くせっかく築いた優位性を維持する事が難しくなります。
また、いくら独自性や強みの優位性が強くても、それが顧客(消費者)の求めているものと合致していなければ市場に受け入れられる事はないでしょう。
自社の商品やサービスの良さに注目するあまり顧客(消費者)の想いを忘れてはいけません。
顧客(消費者)が本質的に何を求めているのか見きわめる事はとても重要な事です。

USPとは「自社が保有する独自の強み」と「顧客(消費者)の本質的なニーズ」のマッチングによって生み出されるものなのです。

独自の強みで市場を制する肝は「独自の強み」と「市場のニーズ」とのマッチングにあるわけです。

ところで余談になりますが、先に述べたUSPの3つの要件のうち、1番目の「競合にはない独自性がある」と2番目の「競合に比べて優位な自社の強みである」に関しては、実は必須という訳ではありません。

【USP(Unique Selling Proposition)】の3つの要件|独自の強みで市場を制す!

先に事例としてあげたドミノピザのUSPに関しても、実際には同じようなサービスを提供していた競合は存在していたそうです。

しかしながらそのサービスを

「注文から30分以内にお届け。間に合わなければ代金は頂きません。」

という巧みなキャッチコピーとして宣伝し、消費者の心を鷲掴みにしたところにドミノピザの勝因があったと思われます。

ただこのケースにおいても、強みである「配達の速さ」が競合よりも優位であればある程、この市場におけるドミノピザの優位性がより確実になる事は言うまでもありません。

【USP(Unique Selling Proposition)】のまとめ|独自の強みで市場を制す!

自社のUSPを適切に設定し顧客(消費者)に広く認知してもらえれば自社が圧倒的に優位なブルーオーシャンの市場を形成できます。USPを駆使し競合に埋もれる事なく差別化をはかれば、市場を制する事も夢ではないのです。
独自の強みを活かして市場を制しましょう!

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